2016 年 36 巻 7 号 p. 718-727
病院では多職種によるチーム医療が行われ,それらチーム医療が重層して組織的な医療が展開している.加えて,医療事故報告の集積・分析などにより医療の質向上を計る取り組みも行ってきた.平成26年6月に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が成立し,翌年10月から法に定義された事故について第三者機関への報告とその調査などが義務付けられた.ここにおいて病院長は患者の意思を尊重することと,医師,看護師ら現場の医療者の自律を保護することとの二つを両立させる立場となる.医療事故の調査などを考えることは,組織的な病院医療の価値規範を再確認することでもある.