日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
経鼻胃管挿入時に徐脈をきたした1症例
藤原 勇太岸本 朋宗平林 政人土井 克史
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2017 年 37 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

症例は83歳の男性で,盲腸腫瘍の診断にて腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術が予定された.既往に両側緑内障があり,右眼は失明していた.麻酔導入はフェンタニル200μg,プロポフォール50mg,ロクロニウム40mgで急速導入し,経口挿管を行った.その後,経鼻胃管を鼻腔内に挿入すると心拍数50/minから15/minへと高度の徐脈となり,挿入操作中止すると心拍数42/minに回復した.本症例では三叉神経-心臓反射(trigemino-cardiac reflex:TCR)の可能性が考えられた.経鼻胃管挿入時には,TCRにより徐脈をきたす可能性があることを念頭に置くことが重要である.

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© 2017 日本臨床麻酔学会
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