2017 年 37 巻 4 号 p. 547-551
手術部位感染(surgical site infection:SSI)は,すべての手術に関連して最も予防するべき医療関連感染の一つである.SSIを予防するためには,肥満の防止,禁煙と糖尿病のコントロールを十分つけた上で,前日に抗菌石鹸を用いたシャワーを行うことや,術前の十分な手指衛生,周術期抗菌薬を胸骨切開120分前に確実に開始して血中濃度が十分な状態で手術を開始することも大切である.術中は,十分な酸素投与と低体温防止に留意し,長時間の手術や出血量が多い手術では抗菌薬の適正な追加を行うことも重要である.SSIを減少させるためには,術中管理や周術期管理を行う麻酔科医の貢献への期待は大きい.