日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
パークベンチ体位での手術中に発症した横紋筋融解症の1例
川喜田 美穂子石山 実花北川 愛子太田 志摩網谷 謙西村 佳津
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2017 年 37 巻 5 号 p. 591-595

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抄録

72歳男性.左聴神経腫瘍摘出術が予定された.パークベンチ体位をとって4時間後赤褐色尿が出現したが,血液ガス検査,循環動態とも安定していたため手術はそのまま継続した.麻酔時間は9時間15分であった.術直後から側胸部の皮膚に発赤を認めた.術翌日の検査で血中CPK上昇(7,563IU/L),ミオグロビン尿(87ng/mL),CT検査にて側腹部および右臀部の筋肉に腫脹が認められたため,横紋筋融解症と診断された.経過中尿量は保たれており腎機能障害は認めなかった.発症の主な原因はパークベンチ体位による長時間手術と考えられるが,輸液制限やD-マンニトール使用による脱水,肥満などいくつかの誘因が重なり発症したと考えられた.

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© 2017 日本臨床麻酔学会
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