大学病院など総合病院での緩和ケアと緩和ケア病棟や在宅医療での緩和ケアとの違いは,化学療法など,がん治療中の患者への対応が必要なことである.麻酔科医出身の緩和ケア医は,痛みの評価・治療,そして,オピオイド鎮痛薬や鎮痛補助薬の使用に熟達している.苦痛緩和のコンサルテーションには慣れているが,他科出身の者に比べ入院患者や在宅医療患者の主治医としての役割には慣れておらず,大学を離れた際,緩和ケア医として緩和ケア病棟や在宅医療での診療を行う場合には,入院患者を対象とした主治医としての新たな研修が必要である.また,大学では,医学部生,大学院生の教育,博士号取得のサポートも重要な役割である.