2020 年 40 巻 3 号 p. 308-313
最も多くの研究が行われている体幹部の持続末梢神経ブロックは,胸部傍脊椎ブロックであろう.開胸術において,持続胸部傍脊椎ブロックは持続胸部硬膜外ブロックと同等の鎮痛を提供し,副作用は硬膜外ブロックより少ない.最近は,胸部傍脊椎ブロックのアプローチや局所麻酔薬の投与様式を工夫することで,さらに鎮痛効果を高められることがわかってきた.腹部体幹の持続末梢神経ブロックでは,腹横筋膜面ブロックに関する前向き比較研究が複数ある.持続腹横筋膜面ブロックは下腹部開腹術後のオピオイド使用量を有意に減らす.持続腹横筋膜面ブロックの課題の一つは遮断範囲の狭さであり,それを改善するための試みがいくつか行われている.