2021 年 41 巻 1 号 p. 15-19
Fontan術後合併症であるタンパク漏出性胃腸症(protein losing enteropathy:PLE)および鋳型気管支炎(plastic bronchitis:PB)に対して経カテーテル的にリンパ漏出部へアプローチするリンパ管塞栓術の麻酔管理を3症例(PLE2例,PB1例)経験した.いずれも気管挿管,陽圧換気下での全身麻酔を選択し,十分な補液と積極的なカテコラミンの使用で心機能を維持した.しかし,PB症例では鋳型粘液栓による気道閉塞から陽圧換気困難に陥り,手術中止とした.Fontan術後の非心臓手術においては,症例ごとに合併症を含めた念入りな術前評価と綿密な麻酔計画が必要である.