日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第39回大会 シンポジウム ─カテゴリー1 緊急帝王切開術─
「ノーフォールト」に見られるグレードAの問題点と解決策─安全のための母体の情報取得と評価─
加藤 里絵
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2021 年 41 巻 1 号 p. 73-77

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抄録

グレードA帝王切開術は1分を争って児娩出を急ぐ手術である.麻酔科,手術室,産婦人科,新生児科などの努力の結果,帝王切開術決定から児娩出までの時間はかなり短縮されている.しかし手術を急ぐあまり,私たち麻酔科医が行うべき患者評価と麻酔計画立案が忘れられてはいないだろうか? グレードAでは迅速導入が選択されることがほとんどだが,グレードA=迅速導入ではない.頻度は高くはないが,挿管困難,妊娠高血圧症候群,母体の全身状態不良など,迅速導入を安全に行えない症例が潜んでいる.母体の安全を守るために,たとえグレードAという非常に急いだ状態であっても,患者評価に基づいた麻酔計画の立案を行いたい.

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© 2021 日本臨床麻酔学会
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