2021 年 41 巻 2 号 p. 145-151
77歳,男性.肺炎のため入院し,左上葉気管支内に進展した左肺門部癌,重症慢性閉塞性肺疾患(COPD),回盲部腫瘍と診断された.気管支鏡生検後に一時的に低酸素血症となり,その原因として鎮静薬と気道への刺激が考えられた.回盲部切除術が予定され,術式や麻酔方法を総合的に検討した結果,硬膜外麻酔併用全身麻酔下に腹腔鏡下回盲部切除術を施行することとした.術中は聴診および気管支鏡で左上葉気管支の開存度を確認しつつ,流量-時間曲線などのグラフィックモニタリングを参考に人工呼吸器を設定した.術直後より非侵襲的陽圧換気を導入した.術後肺合併症なく管理し得た.