2022 年 42 巻 2 号 p. 181-186
近年,経カテーテル的大動脈弁留置術など低侵襲心臓手術が普及している.胸骨正中切開と比べ創部は小さいが,術後の疼痛コントロールは依然として重要である.術後痛は患者の全身状態を悪化させる主要な因子であり,呼吸・心血管機能などに影響を及ぼしたり,遷延性術後痛をもたらしたりする.患者の生活の質を保つためにも,術後痛管理は非常に重要である.心臓外科手術の術後痛対策として,最近胸壁の神経ブロックが注目されている.出血等の合併症に注意しながら,これらのブロックを活用することで,心臓外科手術においてより良好な術後鎮痛を提供できる可能性がある.