日本臨床麻酔学会誌
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726件の80歳以上の麻酔経験
依光 たみ枝国吉 茂知念 清
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1990 年 10 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

1983~1988年の5年間に行なわれた80歳以上の麻酔,726件の周術期問題点を検討した.術前合併症として高血圧(37%),不整脈(27%),虚血性心疾患(22%),慢性閉塞性肺疾患(22%)が認められた.約60%が術中に血圧が不安定となり,術後は喘息発作(13%),肺炎,無気肺(12%)が最も多い合併症であった.術後1月以内の死亡率は4.9%で緊急手術は予定手術の7倍,PS4はPS2の25倍,一般外科,脳外科は整形外科,泌尿器科の10倍の死亡率となっており有意に(p<0.01)高かった.しかし80代,90代の死亡率に有意差はなく,予後を決定するのは暦年齢よりも術前全身状態,手術部位がより重要だと思われた.

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