日本臨床麻酔学会誌
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サクシニルコリンによる筋線維束攣縮および血中カリウム濃度上昇に及ぼす硫酸マグネシウム前投与の影響
金谷 憲明今泉 均長井 洋角田 一真土田 英昭並木 昭義
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1991 年 11 巻 2 号 p. 176-181

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抄録

ASA 1, 2の成人手術予定患者36名を対象として,サクシニルコリンによる筋線維束攣縮の発生および血中カリウム濃度上昇に及ぼすマグネシウム前投与の影響について調べた.サイアミラール5mg/kgを投与し患者が入眠したのを確認後I群は生理食塩水40ml, II群は硫酸マグネシウム30mg/kg, III群は硫酸マグネシウム60mg/kgを投与し,続いてサクシニルコリン1mg/kgを静注して気管内挿管を行った.サクシニルコリン投与後の筋線維束攣縮の程度はI群に比べ,II, III群で有意に減弱した(p<0.01).サクシニルコリン投与2分後の血中カリウム値はI群では0.16±0.29mmol/l上昇したが,II群は-0.14±0.29mmol/l, III群は-0.37±0.64mmol/lと上昇を認めずI群とII, III群の間に有意差を認めた(p<0.05).挿管前後の心拍数は3群間で有意差は認めなかったが,挿管後の平均血圧はI群に比べII, III群で低く抑えられた.

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