口唇・口蓋形成術を施行したASA分類P.S. 1の乳幼児26名を対象として,エンフルレン麻酔後の肝細胞障害の推移を,1回麻酔群・2回麻酔群に分けて,麻酔後8週間観察し比較検討した.両群とも,麻酔後1週目と2週目で血清Al-p, Al-p2, Ch-Eの低下,麻酔後1~3週にかけて血清総ビリルビンの低下,および麻酔後1週目と2週目で血清タイプIIIプロコラーゲンアミノペプチドの低下がみられた.以上のことより,エンフルレン麻酔後2週間は.酵素合成抑制,ビリルビン代謝充進,コラーゲン合成抑制を伴う肝細胞障害の発生することが示唆された.またエンフルレンの繰り返し麻酔は,短時間では肝細胞障害をさほど助長しないと思われた.