日本臨床麻酔学会誌
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腎移植患者術後のヒト血清アルブミン構造の変化
早川 篤司下中 浩之上松 治孝山本 道雄桑田 一夫恵良 聖一曽我 美勝
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1991 年 11 巻 2 号 p. 195-199

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抄録

アルブミン(human serum albumin, HSA)を高速液体クロマトグラフィを用いて分析することによって腎移植患者の手術直後のSH/S-S酸化・還元電位の変動を調べた.腎移植患者ではいずれも術前にHSAの酸化・還元電位が酸化に大きく傾いているが,術後に正常値へ回復する傾向を示した.死体腎移植患者ではHSAの酸化・還元電位の回復が術後21日目においても不十分であったのに対し,生体腎移植患者では手術後4日目には一般手術・麻酔患者HSAの酸化・還元電位の変化とほぼ同じになった.腎移植術後のHSAの酸化・還元電位の正常化は移植腎の機能回復と平行していると考えられ,本法は移植腎の機能回復を示す指標の一つとして有用と思われた.

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