日本臨床麻酔学会誌
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膝関節鏡視下手術後の関節内鎮痛薬投与の効果
倉光 せつ河田 竜一村上 真理黒田 泰弘村川 敏介坂部 武史
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1995 年 15 巻 9 号 p. 628-632

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抄録

膝関節鏡視下手術終了時に,膝関節内に注入した各種鎮痛薬の効果を術式別に検討した.術式は,滑膜切除の有無で2群に分けた.鎮痛薬として,モルヒネ1mg,フェンタニール30μg,ブプレノルフィン60μgをそれぞれ生理食塩水20mlに希釈して用い,対照群では生理食塩水20mlのみを注入した.鎮痛効果はvisual analogue scale (VAS)で判定した.滑膜切除術は,滑膜非切除術に比しVASが高い傾向にあり,鎮痛薬は無効であった.滑膜非切除術では,術後24時間以降のVASが,モルヒネ群で対照群に比し,有意に減少した.いずれの群においても鎮痛薬による副作用は認められなかった.鎮痛薬の関節内注入による術後鎮痛には限界があるが,術式を選べば効果が期待できると思われた.

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