1996 年 16 巻 4 号 p. 360-364
心エコー図法による心拍出量測定と,熱希釈法による心拍出量を比較した.成人手術患者10例に,肺動脈カテーテルにて,熱希釈法(TCO)と連続法(CCO)心拍出量を計測した.経食道心エコー図では,Teichholz法にて左室心拍出量を計測した(LVCO).パルスドプラ法で肺動脈と僧帽弁の血流速度よりそれぞれの心拍出量を求めた(PACO, MVCO).TCOとの相関関数は,CCOは0.92, LVCOは0.98, MVCOは0.92, PACOは0.96とそれぞれよい相関が得られた.心エコー図が描出できない症例もまれにあるが,経食道心エコー図は,心臓の形態学的情報も提供できるので,術中循環管理に有用である.