1997 年 17 巻 9 号 p. 536-538
ミダゾラムの作用を拮抗するために投与されたフルマゼニルによって誘発されたと思われる後弓反張を観察した.斜角筋間法による腕神経叢ブロックに際し,中毒量を超える局所麻酔薬が投与された.局所麻酔薬の血中濃度上昇によると思われる軽い見当識障害が観察されたため,予防的にミダゾラムを投与した.約1時間後,ミダゾラムを拮抗するために投与したフルマゼニルの静注後から,後弓反張が出現した.本例でみられた後弓反張は,局所麻酔薬血中濃度が上昇したときにみられる中枢神経系の興奮状態のうえで,フルマゼニルの作用機序に関連した機序が加えられて起こったものであると考えられた.