高力価第VIII因子抑制物質による著明な出血傾向を有した45歳女性で, Borrmann IV型の胃癌が原因と考えられたため, 胃全摘術を行なった. 内科的治療が試みられていたが, 根本治療として手術が予定された. 術前に同抑制物質力価が著しく上昇していたので, 手術直前に全身麻酔下で血漿交換の後, 第VIII因子製剤の補充を行ない, 引き続き手術を開始した. 術前処置によって第VIII因子活性は著明に上昇し, 術中に異常出血もなく無事手術を終了したが術後3日目にMOFを来し死亡した. その概要を考察を加えて報告する.