日本臨床麻酔学会誌
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冠スパズムの術中発症前後における心電図および循環動態の経時的変化
渡辺 誠之岩隈 いずみ大石 一男後藤 俊介津田 英照無敵 剛介
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1986 年 6 巻 6 号 p. 486-492

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抄録

心筋梗塞•狭心症の発症の原因として, 本邦では冠スパズムの占める割合が比較的多いことが指摘され, 麻酔管理中にも種々の原因により発症し, 実際に術中冠スパズムと診断された報告も多数みられる.
今回, われわれは術中冠スパズムの既往のある患者 (69歳, 男性, 術前診断名: 膀胱腫瘍) の硬膜外麻酔併用の全身麻酔管理に際し, 光伝送法による耐ノイズ性の背面心電図と心電図第II誘導, 橈骨動脈圧, 中心静脈圧をデーターレコーダーに連続記録しつつ, 慎重な術中循環管理を試みたにも拘らず, 術中に再度冠スパズムの発症をみたため発作時の循環動態変化と心電図変化を一拍毎に捉える機会が得られた. 最初の変化はR-R間隔 (心拍数) と血圧にあらわれ, 次に背面心電図上ST部分が上昇, 第II誘導上ST部分, R波高, QRS幅, T波の順に変化を認めた. そこで冠スパズム発生時の誘因と心電図, 血行動態の経時的変化を考察し報告する.

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