日本臨床細胞学会雑誌
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原著
乳管腺腫の細胞学的検討
伊藤 仁宮嶋 葉子加戸 伸明芹澤 昭彦町田 知久梅村 しのぶ長村 義之
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2009 年 48 巻 5 号 p. 257-262

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抄録

目的 : 臨床的および病理組織学的にも癌との鑑別が問題となる乳管腺腫の細胞学的特徴について検討した.
方法 : 組織学的に乳管腺腫と診断された 9 例を対象とした. 穿刺吸引細胞診標本のパパニコロウ染色標本を用いて, 種々の細胞学的所見について評価し, 臨床的所見および組織学的検討を加えた.
成績 : 60 歳以上の高齢者に多く, 超音波診断により癌が疑われていた症例が 6 例あった. 細胞診は, 悪性疑い 3 例 (アポクリン癌疑い 2 例), 鑑別困難 3 例, 良性 3 例であった. アポクリン化生細胞は 4 例に認められ, 2 例では高度の核異型を示していた. 3 例において細胞質内に明らかな粘液を有する細胞が認められた. 8 例において, 明らかな腺細胞と筋上皮細胞の二相性を示す集塊が混在していた. 腺上皮細胞の結合性は比較的良好であった. 細胞診で粘液を有する細胞が認められた 3 例では, 組織学的に PAS 反応が強陽性を示した.
結論 : 乳管腺腫では異型性の強いアポクリン化生細胞や細胞内粘液を有する細胞がみられることがあり, 乳腺細胞診において, それらと良性細胞集塊が混在して出現した場合には, 乳管腺腫を念頭において慎重に判定することが overdiagnosis を防ぐうえで肝要と考えられた.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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