日本臨床細胞学会雑誌
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症例
耳下腺リンパ上皮癌の 1 例
宅見 智晴齋藤 生朗木村 文一古屋 能孝高清水 恵子山下 茂郎八木 昌人瀧 和博
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2009 年 48 巻 5 号 p. 296-300

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抄録

背景 : 唾液腺原発のリンパ上皮癌 (lymphoepithelial carcinoma) は, 全唾液腺腫瘍の 1%以下を占めるまれな腫瘍である. 今回われわれは耳下腺原発のリンパ上皮癌を経験したので穿刺吸引および捺印細胞像と組織像を呈示し, 細胞診断上の留意点について文献的考察とあわせて報告する.
症例 : 50 歳代, 男性. 左耳下部の腫脹を主訴に当院耳鼻咽喉科を受診. 耳下腺腫瘍が疑われ, 穿刺吸引細胞診が行われた. 穿刺吸引細胞診では, リンパ球を背景に不規則性重積と流れを示す大小の異型細胞集塊を認めた. 異型細胞の細胞質は淡く細胞境界は不明瞭であった. 核は類円形から紡錘形を呈し, 軽度の核形不整を示し, 核クロマチンは粗く増量していて, 核小体が目立つものは少なかった. 耳下腺摘出が施行され, 左耳下腺内に 3.0 cm 大, 周囲との境界不明瞭な灰白色充実性腫瘍を認めた. 組織学的に, 腫瘍細胞は不規則な島状ないし充実性胞巣を形成しており, 胞巣間に高度のリンパ球浸潤が認められた. 腫瘍細胞の核は類円形から多角形を示し, 核小体は明瞭であった. 上咽頭未分化癌に類似した組織像を示すことから耳下腺原発のリンパ上皮癌と診断された.
結論 : 唾液腺穿刺吸引細胞診で, 多数のリンパ球を背景に不規則性重積を示す扁平上皮癌様異型細胞集塊を認めた場合には, 本腫瘍も念頭において診断する必要がある.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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