日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <細胞診はどこまで中皮腫に迫れるか>
体腔液中に出現する中皮腫細胞の形態学的特徴について
濱川 真治柏崎 好美近藤 洋一小坂 美絵森 一磨清水 誠一郎
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2009 年 48 巻 5 号 p. 307-311

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抄録

目的 : 体腔液中に出現する中皮腫細胞の形態学的特徴について検討した.
方法 : 1990∼2005 年の間に当院の病理組織診断にて中皮腫と診断され, 体腔液中に上皮型中皮腫細胞が出現した 10 例を用いて, 形態学的特徴について観察した.
成績 : 背景は組織球やリンパ球が主体で, 集塊状と孤立散在性に多数の腫瘍細胞が出現する症例が 7 例であった. 中皮腫細胞集塊は球状や乳頭状に出現する症例が 9 例, 花弁様配列や亀甲様構造を形成している症例が 6 例, 相互封入像が 5 例に観察された. 孤立散在性細胞は, N/C 比が比較的小さく, 細胞質に重厚感を認め, 軸対称性の 2 核細胞を 7 例に認めた.
結論 : 体腔液中に出現する中皮腫細胞は多彩な細胞集塊を呈し, 球状集塊や乳頭状集塊をはじめ花弁様配列や亀甲様細胞接着構造を呈する細胞集塊, 相互封入像などが多く観察された. これらの多彩な細胞集塊形成は, 体腔液を用いた中皮腫細胞診断において, 所見の一つの指標になると考えられた.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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