日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <細胞診はどこまで中皮腫に迫れるか>
体腔液を用いた悪性中皮腫の細胞診断
—判定を困難にする要因と細胞形態からみた反応性中皮との鑑別—
三浦 弘守安達 友津安田 奈津子渡辺 みか石田 和之苅谷 嘉之笹野 公伸森谷 卓也
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2009 年 48 巻 5 号 p. 319-326

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抄録

目的 : 東北大学病院病理部における上皮型と二相型悪性中皮腫 (malignant mesothelioma, 以下 MM) 16 例の, 体腔液細胞診の正診率は 7/16 (43.8%) であった. 今回, MM の診断率の向上を目的とし, MM の診断に至らなかった 9 例の要因について細胞学的に検討を行った.
方法 : MM と診断した 7 例, MM の診断に至らなかった 9 例 (陰性 4 例, 疑陽性 4 例, 腺癌 1 例) の体腔液細胞診と, 65 例の良性体腔液中の反応性中皮細胞 (reactive mesothelial cell, 以下 RM) を対象とした. 各症例について, 細胞の出現形式, 細胞集塊の形状, 細胞と核の性状および面積, 多核細胞の割合について比較検討した.
成績 : 陰性とした 4 例中 3 例の MM 細胞は少なく, ほとんどは孤立性に出現していた. また, 細胞面積は RM (243.6μm2) に比し同程度から小さかった. 疑陽性および腺癌と判定した症例では, 多数の MM 細胞が孤立性や重積性集塊で出現していたが, 細胞面積は 5 例中 4 例が RM より小さかった.
結論 : MM では出現細胞量が少なく, 腫瘍細胞が小型な症例では, 陰性または疑陽性判定の要因となることが示唆された. MM の診断および RM との鑑別には, 重積性集塊, 重厚な細胞質, 腫大した好酸性の核小体, 多核細胞の割合 (10%以上) が重要な細胞所見と考えられた.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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