日本臨床細胞学会雑誌
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症例
神経内分泌非浸潤性乳管癌 (neuroendocrine ductal carcinoma in situ : NE-DCIS) の 2 例
木下 準子河原 真弓子貞嶋 栄司山崎 加奈子貞嶋 奈津田中 喜久入江 康司
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2011 年 50 巻 6 号 p. 346-350

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抄録

背景 : 血性乳頭分泌を主訴とし, 細胞診が診断に有用であった非腫瘤形成性の神経内分泌非浸潤性乳管癌 (neuroendocrine ductal carcinoma in situ : NE-DCIS) を 2 例経験したので報告する.
症例 : 症例 1 は 70 歳代, 女性. 右乳房の血性乳頭分泌物を主訴に来院. 細胞診で, 重積性乳頭状集塊や散在傾向を示す比較的均一な小型類円形∼多辺形の腫瘍細胞を多数認めた. 核は類円形偏在性で, 好酸性顆粒状の豊富な細胞質を有していた. 症例 2 は 60 歳代, 女性. 両側乳房の血性乳頭分泌を認め来院. シート状∼軽度重積性集塊や結合性の低下した集塊を認めた. 腫瘍細胞は小型類円形∼多辺形で, やや広い弱好酸性の細胞質を有していた. 左右とも免疫細胞化学染色にて synaptophysin 陽性であった.
結論 : 乳汁細胞診にて NE-DCIS と診断しえた 2 例を報告した. NE-DCIS は病理学的に乳頭腫などの良性病変との鑑別が困難な場合があるが, 細胞形態の詳細な観察と神経内分泌系マーカーの免疫細胞・組織化学的検索の併用により, 本組織型を疑うことが可能である.

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© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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