日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <ベセスダシステム時代の子宮頸部組織診>
異型扁平上皮 (atypical squamous cells : ASC) と異型腺細胞 (atypical glandular cells : AGC) の組織診における位置づけ
清川 貴子
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2012 年 51 巻 1 号 p. 42-48

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抄録

ベセスダシステムには, 特定の前癌病変を指すのではなく癌へのリスクの高さを示す項目が設けられている. 異型扁平上皮 (atypical squamous cells : ASC) と異型腺細胞 (atypical glandular cells : AGC) がそれにあたる.
ASC は, 意義不明な異型扁平上皮細胞 (atypical squamous cells of uncertain significance : ASC-US) と高度扁平上皮を疑う異型扁平上皮 ASC-H とに分けられる. ASC 症例のなかには, その後の組織診で低異型扁平上皮内腫瘍 (low-grade squamous intraepithelial lesion : LSIL) ばかりではなく, 高異型扁平上皮内腫瘍 (HSIL : CIN 2, 3) と診断されるものもある. その頻度やハイリスク HPV 陽性率は ASC-US に比して ASC-H で高いが, 年齢による差もある. 閉経後の ASC-H 患者は, その後の組織診で LSIL ないし良性変化と診断されることが多い. ASC と判定されうる良性変化には, 炎症による反応性異型, 未熟扁平上皮化生, 萎縮, 移行上皮化生がある.
AGC 症例では, 10∼40%に組織学的に高異型病変が発見され, その多くは扁平上皮病変 (CIN 2, 3) であるが, 腺癌, 上皮内腺癌, 良性内頸部腺病変と診断される例もある. 後者には, 反応性異型, 卵管上皮化生, 子宮内膜症, 頸管ポリープ, 内頸腺過形成, アリアス・ステラ反応がある.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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