日本臨床細胞学会雑誌
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原著
集検喀痰細胞診で発見された喉頭癌と早期中心型肺癌の細胞像の比較検討
立原 素子神尾 淳子佐藤 丈晴室井 祥江柴田 眞一森村 豊石田 卓棟方 充
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2012 年 51 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

目的 : 集団検診 (集検) 喀痰細胞診により咽喉頭癌が発見されることがある. 今回, 集検喀痰細胞診で発見された喉頭癌と早期中心型肺癌の細胞像を比較検討した.
方法 : 1994∼2006 年度に集検喀痰細胞診をきっかけに発見された喉頭癌 8 例と早期中心型肺癌 14 例を対象とした. 標本から高度異型扁平上皮細胞および扁平上皮癌細胞を抽出し, 細胞の染色性・大きさ・形状・光輝性の有無・細胞辺縁の性状・核数・核形・核クロマチン量を観察し両群間で統計学的に比較検討した.
成績 : 両群ともクロマチンの増量は軽度, 核異型の弱い中小型で, 細胞質がオレンジ色細胞・イエロー色細胞が合わせて約 9 割を占めた. 喉頭癌は, 光輝性のないオレンジ色の細胞が多く, 一方, 早期中心型肺癌では, 光輝性のあるイエロー色細胞の出現が有意に多かった. ROC 曲線 (receiver operating characteristics curve) での検討では, 光輝性のないオレンジ色細胞がオレンジ色細胞全体の 84%以上を占める場合, 喉頭癌である確率は感度 100%, 特異度 100%であった.
結論 : 喉頭癌と早期中心型肺癌では, 喀痰細胞診で異なる細胞所見を呈していた. これらの細胞像に着目することで喉頭癌の早期発見に寄与できる可能性が示唆された.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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