日本臨床細胞学会雑誌
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症例
内膜細胞診にて多数の collagenous stroma を有する細胞集塊を認めた子宮内膜間質肉腫の 1 例
松本 一仁濱中 貴久子真鍋 麻美滝田 知宮古 まろみ一戸 志津子丸山 英俊谷内 和恵
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2012 年 51 巻 3 号 p. 192-197

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抄録

背景 : 内膜細胞診にて多数の collagenous stroma を有する細胞集塊の出現を認めた子宮内膜間質肉腫の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 83 歳, 女性. 不正性器出血を訴え入院. 超音波検査にて子宮体部癌が疑われ内膜細胞診および生検を施行. 細胞診では硝子様コアを伴い腺様配列を示す細胞集塊が認められ腺癌と判定された. 組織学的に腫瘍は卵円形∼短紡錘形細胞の充実性増殖よりなり, 間質にはラセン動脈様の血管とともに, 類円形∼不定形の collagenous stroma が多数介在していた. 免疫染色では腫瘍細胞は CD10, vimentin, ER, PgR が陽性を示し, 以上の所見から子宮内膜間質肉腫と診断した. 本例の内膜細胞診では collagenous stroma を有する細胞集塊は, 一見腺癌を模倣する所見を示したが, retrospective には間質に多数の collagenous stroma の介在を伴った, 本例の組織像を反映する所見と考えられた.
結論 : 子宮内膜間質肉腫では collagenous stroma が介在する場合もあることを念頭に置き, 細胞学的診断に際しては, 腫瘍細胞形態の注意深い観察が必要と思われた.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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