日本臨床細胞学会雑誌
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症例
術中迅速診断時に圧挫細胞診が有用であった angiomatous meningioma の 1 例
鬼松 幸子舩本 康申平口 貴子三谷 由香利横平 政直今井田 克己大森 正樹竿尾 光祐
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2012 年 51 巻 3 号 p. 204-208

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抄録

背景 : 血管腫性髄膜腫 (angiomatous meningioma) は髄膜腫の特殊な亜型であり, その発生も髄膜腫の 2.1%と頻度は低い.
WHOgrade 1 に分類されているが, 細胞診所見の報告は少ない.
今回われわれは, 術中迅速病理診断時に腫瘍の圧挫細胞診の併用が有用であった血管腫性髄膜腫の症例を経験したので, その細胞診像を中心に報告する.
症例 : 75 歳, 男性. 交通外傷にて救急搬送され, 頭部単純 CT にて右前頭蓋窩に異常陰影が指摘され, MRI による画像診断にて髄膜腫が疑われた.
頭蓋内腫瘤摘出術時の, 迅速病理診断時に腫瘍の一部を用いて Ultra-fast Papanicolaou 染色での圧挫細胞診も併用した.
凍結病理標本では多数の血管様構造を認め, 肥厚した血管壁からは連続性に膠原線維様物質が著明に増生していた. 増生した血管・膠原線維組織間には核の腫大した細胞が孤在性に, あるいは数個の小集塊を形成して認められたが, これらの細胞の詳細な形態把握は困難であり, 明確な診断にはいたらなかった. 圧挫細胞診では, 断片化された多数の膠原線維様物質間に髄膜皮性髄膜腫に一致する腫瘍細胞が数個の結合性集塊を形成して出現する所見が得られ, 髄膜腫と診断する上で圧挫細胞診の所見が有力な手掛かりとなった.
結論 : 血管腫性髄膜腫の凍結病理標本では血管と増生した膠原線維によって腫瘍細胞がマスクされた時に腫瘍細胞の詳細な形態把握が困難な場合があるが, 腫瘍の圧挫細胞診の併用が診断には非常に有用である.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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