日本臨床細胞学会雑誌
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原著
乳腺穿刺細胞診における液状処理細胞診 p63 免疫染色の有用性
前田 智治木藤 克己古谷 敬三加藤 真紀子森 理恵高石 裕子兵頭 直樹井上 信行木下 幸正高石 修
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2012 年 51 巻 4 号 p. 256-260

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抄録

目的 : 乳腺穿刺細胞診において, 液状処理細胞診 (Liquid Based Cytology, 以下 LBC) の p63 免疫染色について検討した.
方法 : 乳腺穿刺細胞診の従来法標本を作製後, 注射器に残った材料より LBC 標本を 2 枚作製した. 1 枚は Pap 染色し, 十分な上皮細胞数がみられた場合, 残りの 1 枚に p63 の免疫染色を行った.
成績 : 2010 年 9 月∼2011 年 5 月に施行された乳腺穿刺細胞診 248 例中, LBC 標本に十分な上皮細胞が得られた 100 例を検討対象とした. 100 例中組織学的検討がされた症例は 63 例で, 悪性 57 例, 良性 6 例であった. 悪性の p63 陽性細胞数は, 良性のそれと比較して少なく, 細胞診で鑑別困難, 悪性疑いとした症例は LBC-p63 免疫染色が診断の向上に有用であった.
結論 : 悪性例は, LBC-p63 染色で p63 陽性細胞数が低下していた.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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