日本臨床細胞学会雑誌
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原著
神経鞘腫の細胞像—Antoni A 型, Antoni B 型における肉眼的・組織学的所見との比較・検討—
田中 可奈子佐藤 香織西島 良美吉田 朋美小山 徹也福田 利夫
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2012 年 51 巻 5 号 p. 333-340

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抄録

目的 : 神経鞘腫は良性軟部腫瘍の中でも発生頻度が高く, 二次変性に伴って多彩な組織像を示すため, その細胞像を正確に理解しておく必要がある. 本研究では神経鞘腫の捺印, 圧挫, thin-layer (T) 標本を用いその細胞像を, Antoni A 型 (A) と Antoni B 型 (B) に分類し, 肉眼像・組織像とともに比較・検討を行った.
方法 : 軟部に発生し, 組織学的に確認された神経鞘腫 9 例の切除例を対象とし, 組織標本および新鮮割面から捺印, 圧挫, T 標本を作製し, HE 染色, Pap 染色を行った.
成績 : 組織学的に 9 例中 2 例が A であり, 圧挫・T 標本で組織像と同様の核の柵状配列と Verocay body がみられた. B は 7 例で, その内の 5 例の細胞標本では腫瘍細胞の同定は困難で, 組織像でみられた二次性変化のうち水腫性・粘液性変化, 出血, ヘモジデリン沈着, 泡沫細胞の出現のみみられた.
結論 : 細胞標本で A の特徴的な細胞配列がみられる場合は診断が容易だが, 二次性変化を示唆する所見のみの場合も B 由来の細胞である可能性を考慮して診断する必要があり, 捺印または圧挫標本と検体の一部や針洗浄による T 標本の作製を組み合わせることで診断に有用な所見が多く得られると考える.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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