日本臨床細胞学会雑誌
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症例
明細胞化に層板小体の関与が考えられた肺原発淡明細胞腺癌の 1 例
高橋 明日香高橋 保松本 学宮嵜 恵利子吉良 佳那戸井 慎弘井 誠森木 利昭
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2012 年 51 巻 5 号 p. 348-353

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抄録

背景 : 腫瘍の 90%以上が淡明細胞腺癌であったきわめてまれな肺腺癌を経験し, その細胞学的特徴および腫瘍細胞の明細胞化の機序について検討したので報告する.
症例 : 70 歳代, 女性. 胸部 X 線写真と CT で左上葉に腫瘤を指摘され, 血清中の CEA が高値を示すことから肺癌が疑われた. 気管支擦過細胞診で, 細胞境界明瞭な類円形∼円柱状の淡明な細胞質からなる腫瘍細胞が小乳頭状や蜂巣状, 腺腔様配列を示す集団で認められた. 細胞質内には多数の微細空胞がみられるものの, 粘液産生やグリコーゲンの異常蓄積所見は認められなかった. 細胞転写法による TTF-1 免疫染色で陽性を示したことから肺原発の淡明細胞腺癌を推定診断した. 切除組織の免疫染色では腫瘍細胞は TTF-1, SP-A, CEA, CK7 に陽性であり, II型肺胞上皮細胞由来で, CEA 産生性の淡明細胞腺癌と診断された. 電顕的には淡明な腫瘍細胞には種々の大きさの層板小体をいれた多数の空胞や vesicular structure が認められた.
結論 : 本腫瘍細胞の明細胞化には層板小体の異常な産生・分泌が深くかかわっていると思われ, 肺原発の淡明細胞腺癌の重要な所見と考えられる.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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