日本臨床細胞学会雑誌
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原著
甲状腺細胞診ベセスダシステム「悪性の疑い」の分析と臨床的対応に関する提言
樋口 観世子廣川 満良延岡 由梨高木 希隈 晴二宮内 昭
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2012 年 51 巻 6 号 p. 395-401

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抄録

目的 : 甲状腺ベセスダシステムに記載されている悪性の危険度や推奨される臨床的対応が本邦においても同じであるのかを検証する目的で, 今回われわれは, 「悪性の疑い」について分析・比較検討することにした.
方法 : 2010 年に当院で行われた甲状腺穿刺吸引細胞診のうち, 悪性の疑いと報告された 183 結節を検討対象にした.
成績 : 「悪性の疑い」は全細胞診症例の 1.7%で, 88.0%は乳頭癌が, 10.4%は悪性リンパ腫が疑われた. 外科的に切除が行われた結節は検討症例の 64.5%で, 非結節例の多くは微小癌であった. 切除例における陽性予想率は 95.8%であった. 切除後腺腫様結節と診断された誤陽性の 3 結節はいずれも乳頭状増殖が目立つ症例であった.
結論 : 当院のデータからは, 「悪性の疑い」における推奨される臨床的対応は, 「転移や浸潤の兆候のない微小癌を除き, 外科的切除が推奨される」とすべきと考えられた.

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