日本臨床細胞学会雑誌
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症例
リンパ節転移をきたした皮膚線維腫の 1 例
畑中 一仁久岡 正典井上 正年二反田 隆夫舞木 公子西田 ゆかり竹下 かおり梅北 善久
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2012 年 51 巻 6 号 p. 419-424

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抄録

背景 : 皮膚線維腫 (dermatofibroma, 以下 DF) は線維性組織球性の腫瘍で, 良性の経過をたどることが多いが, 非常にまれながらリンパ節や肺に転移する. DF の頸部リンパ節転移を経験したので報告する.
症例 : 30 代, 女性. 4 年前右後頸部隆起性病変を切除. 1 年後右頸部リンパ節腫脹を認め, その 3 年後転移疑いで右頸部郭清術施行. 捺印細胞診では泡沫細胞を伴った出血性背景に紡錘形, 類円形および多角形の線維芽細胞や組織球様細胞が束状に配列した集塊を認め, 核は紡錘形∼卵円形で, クロマチン増量や異型はなく, 泡沫細胞を伴っていた. 組織学的には線維芽細胞の渦巻き状増生からなり, 細胞密度は高く, 組織球様細胞増生, 血管腔様構造を伴っていた. 免疫染色では factor XIIIa 陽性, CD34 陰性で, 融合遺伝子 COL1A1-PDGFB は認められず, DF の転移と診断した. 4 年前の右後頸部病変を確認したところ同様の所見であり, 原発と考えられた.
結論 : リンパ節や肺の転移疑いで線維芽細胞や組織球様細胞の集塊を認めた場合, まれながら DF も鑑別の対象になる可能性があり臨床情報の確認が重要である. なお, DF の細胞像の報告は少なく, 貴重な症例と考えられた.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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