日本臨床細胞学会雑誌
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症例
多量の腹水貯留を契機に発見された卵巣悪性 Brenner 腫瘍の 1 例
谷本 博利岡本 淳子大下 孝史本田 裕阪本 聖田中 信利坂谷 暁夫金子 真弓
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2012 年 51 巻 6 号 p. 441-445

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抄録

背景 : 卵巣 Brenner 腫瘍は組織学的に移行上皮性胞巣と線維性間質より構成されるまれな腫瘍で, 腹水中の細胞所見についての報告は少ない. 今回, 多量の腹水貯留を契機に発見された卵巣悪性 Brenner 腫瘍の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 72 歳, 女性. 10 日前より続く腹部膨満感を主訴に当院内科を受診, 多量の腹水貯留を指摘され当科紹介となり手術を施行した. 開腹時, 黄色調の漿液性腹水 7600 ml を認め, 腹腔内には播種病巣が広範囲にみられた. 右卵巣に顆粒状の腫瘍病変が存在し術後病理検査で右卵巣原発悪性 Brenner 腫瘍と診断した. 腹水細胞診では, 楕円形核を有する中型異型細胞が一定方向に流れのある配列で出現し, 核異型はやや弱く明瞭な核小体を 1 個認めた. さらに, 大きさのさまざまな異型細胞が集塊状に多数出現しており, 核には大小不同, 核形不整を認めた. そのほかにも扁平上皮化生様細胞, 細胞質内粘液を有する細胞など腹水中には種々の異型度を示す多彩な細胞が混在していた.
結論 : 悪性 Brenner 腫瘍の組織形態は多様であり, 腹水細胞診で多彩な細胞像が観察された場合には本腫瘍を鑑別疾患として念頭に置く必要がある.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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