日本臨床細胞学会雑誌
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症例
卵巣原発移行上皮癌の 1 例
—捺印ならびに腹水の細胞像—
横道 憲幸戸澤 晃子大原 樹星川 咲子小池 淳樹高木 正之木口 一成鈴木 直
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2012 年 51 巻 6 号 p. 446-451

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抄録

背景 : 卵巣原発の移行上皮癌は卵巣癌のなかでも比較的まれであり, 捺印細胞診や腹水細胞診について報告はあるものの, 細胞像に関する一定の見解が得られていない. 今回卵巣原発移行上皮癌の 1 例を経験し, 卵巣腫瘍捺印細胞診や腹水細胞診の特徴等に関して考察したので報告する.
症例 : 72 歳, 女性. 半年前からの腹部腫瘤感のため受診. 臍上まで及ぶ腹部腫瘤を触知し, 画像検査上, 両側卵巣に一部充実性部分の混在する嚢胞性病変を認め, 卵巣癌疑いで開腹手術を施行した. 迅速病理診断では悪性腫瘍と診断した. 卵巣捺印細胞診では腫瘍細胞はシート状∼乳頭状の細胞集塊や裸核状を呈し, 核異型が強く, 同様に腹水細胞診では腫瘍細胞は N/C 比が高く, 結合性の強い乳頭状集塊が多数認められた. 病理組織学的に間質の浸潤を伴う尿路上皮様の異型細胞の増殖を認め, ブレンナー成分を認めず, さらに免疫染色の結果から卵巣原発移行上皮癌と診断した.
結論 : 今回, 卵巣腫瘍捺印細胞診では表層上皮性悪性腫瘍を考えたが, 組織型の推定は困難であった. 卵巣原発移行上皮癌の細胞所見の定義は一定しておらず, その特徴を明らかにするにはさらに症例の蓄積が必要である.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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