日本臨床細胞学会雑誌
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症例
微小嚢胞性髄膜腫の 1 例
荒川 文子仲間 盛之村田 行則田島 秀昭石井 幸雄石田 剛
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2013 年 52 巻 2 号 p. 147-151

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抄録

背景 : 脳腫瘍圧挫細胞診標本にて, ヘマトキシリンに濃染し, 大小不同の目立つ類円形核を有する細胞が出現し, 退形成性髄膜腫との鑑別が問題となった微小嚢胞性髄膜種の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 77 歳, 男性. 頭部 MRI にて右前頭葉に辺縁明瞭な腫瘍がみられた. 術中迅速組織診断に提出された腫瘍の一部で捺印標本と圧挫標本を作製した. 血管の豊富な背景に, ヘマトキシリンに濃染し, 大小不同の目立つ類円形核とライトグリーン好染性の広い細胞質を有する細胞がシート状集塊でみられた. 核形不整を伴う大型細胞, 多核細胞, 核内偽封入体のある細胞, 細胞質が泡沫状の細胞も出現していた. 集塊の中には, 突起のある細胞に囲まれた細胞間空隙がみられた.
結論 : 微小嚢胞性髄膜腫では, 核の多形性や異型性がみられるが, N/C 比が低く, 背景の壊死や核分裂像もみられないことが退形成性髄膜腫や一般の悪性腫瘍と異なる所見である. さらに, 細胞質突起に囲まれた特徴的な小型空隙が細胞診でも認められる. この細胞間空隙は凍結組織切片ではアーチファクトとの鑑別が難しく, 術中迅速診断では圧挫および捺印標本の併用が本亜型の推定診断に有用であると考える.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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