日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸腔鏡手術により診断および完全切除しえた肺炎症性筋線維芽細胞腫の 1 例
柳谷 典子工藤 慶太文 敏景星 利良元井 紀子石川 雄一宝来 威
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2013 年 52 巻 2 号 p. 164-168

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抄録

背景 : 炎症性筋線維芽細胞腫 (inflammatory myofibroblastic tumor : IMT) は肺に発生する腫瘤のなかでは非常にまれな疾患であり, 微小な生検検体で術前診断を得るのは困難なことが多い. 経気管支吸引細胞診 (FNAC) で, 非上皮性の低悪性度ないしは良性腫瘍や良性病変が疑われ, 手術検体で肺の IMT の確定診断を得た 1 例を経験したので報告する.
症例 : 25 歳, 男性. 喫煙歴なし. 検診の胸部 X 線写真にて右上肺野に腫瘤影を指摘され, 胸部 CT 上, 右上葉に辺縁整で内部均一な結節影を認めた. 経気管支吸引細胞診では, リンパ球および形質細胞とともに中∼大型の紡錘形細胞が出現していた. 核異型は乏しいが, 細胞の軽度大小不同があり, 明瞭な核小体や核内細胞質封入体が出現していた. これらの所見から, 非上皮性の低悪性度ないしは良性腫瘍や良性病変が疑われた. 確定診断および治療の目的で, 胸腔鏡下右上葉切除術を施行した. 手術検体の組織診と免疫染色検査の結果, anaplastic lymphoma kinase (ALK) 陽性であり, IMT と診断された.
結論 : 肺の孤立性病変を診断する際, 細胞診および病理組織診で上記のような形態学的所見を認めたときは, 頻度はまれであるが IMT も鑑別疾患にあげ, 検査を進めるべきであると考えられた. FNAC の所見は, 術前段階での IMT 診断の一助となる可能性が示唆された.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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