日本臨床細胞学会雑誌
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原著
従来の胆汁細胞診の問題点と貯留胆汁細胞診・細胞判定基準の有用性
—初学者に対する検証から—
古旗 淳広岡 保明東井 靖子阿部 加奈子阿部 佳之権田 厚文
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2015 年 54 巻 1 号 p. 16-27

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抄録

目的 : 従来の胆汁細胞診の問題点と貯留胆汁細胞診・細胞判定基準 (以下, 判定基準) の有用性について, 胆汁細胞診の初学者を対象に検討した.
方法 : 細胞検査士資格認定試験の受験希望者 116 名に対し, スライド法 (良性 4 例, 悪性 4 例) と鏡検法 (良性 3 例, 悪性 3 例) で判定基準の検証を行った. 検証手順は, 判定基準応用前 : (1)従来の各自の基準で判定 (応用前・1 回目), (2)同じ方法で再判定 (応用前・2 回目). 判定基準応用法 : (3)判定基準の用語説明の後判定 (応用後・用語説明後), (4)追加検証として各所見の評価の基準を追加説明した後再判定 (応用後・追加説明後), とした. 各方法の診断成績と各所見の判定結果を比較した.
成績 : 全体の正診率は, 応用前ではスライド法, 鏡検法で 1 回目がそれぞれ 43%, 48%, 2 回目が 46%, 50%であった. 応用後では用語説明後で 52%, 53%と上昇し, 追加説明後では 59%, 61%とさらに上昇した.
結論 : 判定基準の応用は診断精度の向上に有用と思われた. 一方, この応用の有無に関係なく, 従来の胆汁細胞診には各所見の異型度の基準に曖昧さがあると思われた. より正確な診断のためには, まずこれを改善すべきと思われた.

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© 2015 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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