日本臨床細胞学会雑誌
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原著
肺がん検診喀痰細胞診で発見された頭頸部扁平上皮癌の検討
田口 明美柴 光年沢田 ひとみ早田 篤子桑原 竹一郎渋谷 潔中谷 行雄中島 崇裕吉野 一郎藤澤 武彦
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2015 年 54 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

目的 : 肺がん検診喀痰細胞診では, 肺癌のみならず肺以外の癌が発見されている. 喀痰集検から発見された頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) の細胞像を解析し, 肺扁平上皮癌 (LSCC) と比較検討を行った.
方法 : 1995∼2008 年の喀痰集検で病変部位が確定している HNSCC 39 例を対象に臨床学的検討を行い, また重複癌と細胞学的検討不能例を除く 31 例で, 粘液融解法による蓄痰標本 1 枚に出現した異型扁平上皮細胞 (ASC) および癌細胞における異型度・形状・染色性・変性について, 同集検で発見された LSCC と比較検討した.
成績 : 喀痰集検が契機で発見された癌の 17.2% (40 例) は HNSCC で, 声門癌は 88.9%がI期癌であった. 細胞像では, 声門癌で OG 好性多稜形 ASC の出現比率が高く, 下咽頭癌・声門上癌は LG 好性円形 ASC が優勢であった (p<0.01). また HNSCC は LSCC より細胞変性の程度が軽度であった (p<0.01).
結論 : 声門癌はI期癌が高率で, 喀痰細胞診による早期発見が期待された. また ASC の形態学的パターン解析は, HNSCC と LSCC の鑑別に有用であり, 癌発生部位推定の一助になると考えられた.

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© 2015 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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