日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮内容物の細胞診による異所性妊娠と流産との鑑別診断
衣笠 万里辻本 直樹瀬井 歩湧谷 純
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ジャーナル 認証あり

2015 年 54 巻 3 号 p. 196-204

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抄録

目的 : 異所性妊娠と流産との鑑別診断における子宮内容物の細胞診の有用性について検討した.
方法 : 正常妊娠の可能性は否定されたが, 異所性妊娠と流産との鑑別が困難であった 28 例に対して, 子宮内容吸引除去術で得られた検体からの捺印細胞診 (24 例) または内膜擦過細胞診 (4 例) を実施した. 標本上に合胞体栄養膜細胞 (ST) が確認されれば陽性, すなわち流産と判定し, 陰性の場合には異所性妊娠あるいは完全流産と判定した.
成績 : 最終的に流産と確定した 13 例のうち 10 例が細胞診検査で ST 陽性と判定され, その後ヒト絨毛性ゴナドトロピン値の急速な下降が確認された. そのうち 2 例は組織診で絨毛成分が確認されず, 細胞診が子宮内の妊娠を示唆する唯一の所見であった. ST 陰性であった 3 例は検査前から出血が多く, その後に完全流産と診断された. 異所性妊娠と診断された 15 例は手術またはメトトレキサート投与により治療された. そのうち 14 例は ST 陰性であり, 1 例は当初 ST 陽性と判定されたが, 再検鏡では陰性となった. 細胞診の正診率は 86%, 組織診との一致率は 88%であった.
結論 : 子宮内容物の細胞診は異所性妊娠と流産との鑑別に有用である.

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