日本臨床細胞学会雑誌
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症例
若年女性に発症した子宮頸部粘液性腺癌の 1 例
上島 千春杉口 俊寺畑 信太郎石倉 宗浩
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2015 年 54 巻 3 号 p. 210-215

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抄録

背景 : 今回われわれは性交未経験の若年女性に発症した子宮頸部粘液性腺癌の 1 例を経験したので, その細胞診所見, 組織所見の特徴を含めて報告する.
症例 : 16 歳, 性交経験なし. 過多月経と不正性器出血のため近医で加療されていたが, 大量の性器出血を認め当院に救急搬送となった. 腟鏡診で子宮腟部は腫瘍に置換されており, 骨盤 MRI では子宮頸部に最大径 6 cm の腫瘤を認めた. 子宮腟部擦過細胞診では乳頭状~篩状構造を示す異型細胞集塊を認め腺癌と判定し, 生検でも腺癌と診断した. 子宮頸部腺癌ⅠB2 期の術前診断で広汎子宮全摘術+両側付属器切除術+骨盤リンパ節郭清術を施行した. 組織学的には子宮頸部の腟側は主として乳頭状増殖を認め, 内頸部側では明調な胞体を有する管状構造を主体とした腺癌で, 両者は連続移行していた. 管状増殖部分は MUC6 陽性で胃型形質を発現していた. また骨盤リンパ節に転移を認めた. 術後化学療法を行ったが再発し, 手術から 1 年 4 ヵ月で永眠した.
結論 : 胃型形質をもつ子宮頸部粘液性腺癌は HPV 非依存性で予後不良と報告されており, 性器出血が持続する場合は若年女性であっても病理学的検査が必要である.

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© 2015 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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