日本臨床細胞学会雑誌
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症例
内膜細胞診で砂粒小体を伴う腫瘍細胞を認めた卵巣漿液性境界悪性腫瘍の 1 例
加藤 智美矢島 沙紀佐瀬 智子鎌倉 靖夫清水 道生今井 雄一安田 政実
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2015 年 54 巻 3 号 p. 216-220

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抄録

背景 : 子宮内膜細胞診 (以下, 内膜細胞診) を介して経験される卵巣腫瘍のほとんどが上皮性悪性腫瘍である. 今回われわれは漿液性境界悪性腫瘍の 1 例を報告する.
症例 : 31 歳, 1 経妊 1 経産. 出産後の月経発来不全で近医を受診し, 内膜細胞診異常および右卵巣腫瘍を指摘された. 内膜細胞診では, 砂粒小体を伴う N/C 比が高い異型細胞からなる小型集塊を, 正常な内膜細胞に混在して認めたため, 腺癌を疑った. 内膜組織生検も行われたが明らかな異常は認めなかった. 骨盤 MRI で右卵巣の腫大を認め, 上皮性悪性腫瘍の診断により患者の妊孕性温存希望を考慮して右付属器切除, および体網切除が施行された. 術中腹水は微量であったが細胞診は陽性であった. 右卵巣腫瘍は約 4.5 cm 大で, 被膜破綻や外向性発育はみられなかった. 囊胞内部に乳頭状・顆粒状の病変を認めた. 組織学的に, 大網に顕微鏡的非浸潤性インプラントを伴う漿液性境界悪性腫瘍, FIGO ⅢA と診断された.
結論 : 日常的にはまれな, 内向性発育型で非浸潤性インプラントを伴った漿液性境界悪性腫瘍の内膜細胞診像および腹水細胞診像を経験した.

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