日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水中に出現した膀胱浸潤性微小乳頭癌の 2 例
石原 冬馬赤澤 康弘山田 真人福田 淳江河 勇樹大月 寛郎清水 進一小林 寛
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2015 年 54 巻 5 号 p. 307-312

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抄録

背景 : 膀胱尿路上皮癌のまれな亜型である浸潤性微小乳頭癌 (invasive micropapillary carcinoma, 以下 IMPC) の体腔液中の細胞所見についての報告は少ない. 本腫瘍由来の腫瘍細胞が胸水中に出現した 2 例を報告する.
症例 : 症例 1 は 60 歳代, 男性. 膀胱癌の既往がある. 主訴は呼吸苦で, 右肺下葉の腫瘤, 右肺門部, 縦隔リンパ節腫大, 右胸水貯留を認めた. 症例 2 は 70 歳代, 男性. 膀胱癌の経過観察中に呼吸苦が出現し, 全身リンパ節腫大, 両側胸水貯留を認めた. 2 例とも中等度の核異型を示す腫瘍細胞からなる辺縁が平滑で, 結合性の強い球状および乳頭状集塊を胸水中に多数認めた. 集塊は症例 1 では平面的で, 症例 2 では軽度の核重積を示すが, いずれにも血管結合織性の芯は認められなかった. 背景は清明であった. 腺癌の可能性を考えたが, 胸水セルブロックの免疫染色では, 2 例とも腫瘍細胞は TTF1 陰性であった. 膀胱切除検体には, いずれにも通常の尿路上皮癌と IMPC 成分を認め, 胸水中の腫瘍細胞は形態的な類似性と免疫染色の結果から膀胱 IMPC の転移と考えた.
結論 : 体腔液細胞診で血管結合織性の芯のない, 比較的大型の球状および乳頭状集塊での腫瘍細胞の出現や清明な背景は IMPC を示唆する所見と考える.

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© 2015 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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