日本臨床細胞学会雑誌
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症例
膀胱胞巣型尿路上皮癌 (nested variant of urothelial carcinoma) の 1 例
小堺 智文飯塚 啓二西澤 和世石田 章子太田 浩良
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2015 年 54 巻 6 号 p. 377-382

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抄録

背景 : 胞巣型尿路上皮癌 (nested variant of urothelial carcinoma : NV-UC) はまれな悪性腫瘍である. 組織学的には異型上皮がブルン巣に類似した胞巣を形成し浸潤性増生を示す. 膀胱原発 NV-UC の 1 例を報告する.
症例 : 80 歳の男性. CT では膀胱壁の肥厚を認めた. 膀胱生検では核異型度の低い異型細胞が小胞巣構造をなして筋層浸潤を認め, NV-UC と診断された. 腹腔洗浄液細胞診では, 腫大核を示す異型細胞が孤在性~小集塊を形成して認められ, 陽性と判定された. 膀胱留置カテーテル尿細胞診では重積を示す胞巣状集塊を形成する異型細胞が認められた. 核はおおむね中型均一であったが, 腫大核が混在しており, 陽性と判定された.
結論 : 尿細胞診において NV-UC の推定に重要な所見として, 重積を伴う胞巣状集塊を形成する点, 核所見はおおむね均一であるが集塊内には腫大した異型核が混在する点が挙げられる. NV-UC は悪性度の高い腫瘍であり, 細胞診によるその亜型推定は臨床的に意義がある.

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