日本臨床細胞学会雑誌
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原著
内視鏡的経鼻膵管ドレナージ留置下膵液細胞診における膵上皮内腫瘍性病変の鑑別
佐々木 健司杉山 佳代神田 真規米原 修治
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2017 年 56 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

目的 : 内視鏡的経鼻膵管ドレナージ (endoscopic nasopancreatic drainage ; ENPD) 留置下膵液細胞診における膵上皮内腫瘍性病変 (pancreatic intraepithelial neoplasia ; PanIN) の細胞学的鑑別についての報告はみられない. そこで, PanIN の細胞学的鑑別点を明らかにすることを目的として膵液細胞像を検討した.

方法 : 手術摘出標本にて確定診断された 15 例を検討対象とした. 症例の内訳は PanIN-1B を伴う慢性膵炎が 1 例, PanIN-2 が 2 例, 上皮内癌が 12 例である. ENPD 留置下膵液標本を鏡検し, 背景所見, 細胞の多形性, 不規則重積配列, 核の大小不同, 核形不整, クロマチンの増量や不均等分布, 多彩性 (細胞相互のクロマチンパターンの差) について観察した.

成績 : 核形不整はすべての対象症例でみられたが, クロマチンの増量, 不均等分布, 多彩性は上皮内癌症例のみに認められた.

結論 : 上皮内癌と PanIN-1B, 2 との鑑別に最も有用な所見はクロマチン所見であると考える.

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