2017 年 56 巻 3 号 p. 130-136
目的 : 甲状腺結節に対する LBC プレップ 2 を用いた報告はほとんどみられない. 今回われわれは, LBC プレップ 2 を使用した甲状腺穿刺吸引細胞診での診断精度と細胞像の特徴を検討した.
方法 : 2011 年 6 月~2015 年 5 月に甲状腺穿刺吸引細胞診を施行した 887 病変を対象とした. LBC プレップ 2 を用いて標本を作製し, 甲状腺癌取り扱い規約第 7 版を用いて判定を行った.
成績 : 887 病変のうち組織診断と対比できた 204 病変は意義不明を除くと感度 98.0%, 特異度 89.3%, 正診率 96.6%であった. 赤血球の多くは溶血し, その破砕物が背景に出現していた. コロイドの性状は BD シュアパスTM 法と一部異なっていた. 腺腫様甲状腺腫の濾胞上皮細胞集塊辺縁にライトグリーン好染性の境界明瞭な基底膜様物質を認めた. 乳頭癌の核所見は観察しやすく ThinPrepTM 法より優れていた.
結論 : LBC プレップ 2 を用いた当院での成績は他 LBC 法の報告に劣らなかった. 細胞所見は他 LBC 法と異なる点があることに注意する必要がある.