日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮頸部細胞診 ASC-H 判定例の臨床的取り扱い
—病理組織診断および転帰に関する検討—
今福 仁美蝦名 康彦
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2019 年 58 巻 4 号 p. 162-166

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抄録

目的 : 子宮頸部細胞診 atypical squamous cells, cannot excluded high-grade squamous intraepithelial lesion (ASC-H) 判定例の臨床的取り扱いにおける留意点を明らかにする.

方法 : 2010 年 1 月から 2016 年 12 月までの期間に, ASC-H と判定して子宮頸部組織診を施行した 80 人を対象とした. 初回組織診検査結果, 経過観察例における臨床的転帰について検討した.

成績 : 初回の組織診結果は, cervical intraepithelial neoplasia (CIN) 3 が 30 人 (37.5%) と最も多く, 次いで CIN1 10 人 (12.5%), CIN2 9 人 (11.3%), 子宮頸癌 IA 1 期 4 人 (5.0%), 子宮体部癌肉腫 1 人 (1.2%) であった. CIN2 以上の診断となったものは, 44 人 (55.0%) であった. 初回の組織診結果が良性で経過観察を行った 22 例のうち, 6 例 (27.3%) が中央値 16 ヵ月 (範囲 10〜32 ヵ月) で, CIN2〜3 の組織診断となった.

結論 : ASC-H 判定例においては, CIN2 以上の組織診断となる頻度が高く, すみやかなコルポスコピー下生検が必須である. また, 初回の組織診結果が良性であっても, 経過観察中に high-grade CIN と診断される頻度が高く, 厳重なフォローアップが必要である.

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© 2019 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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