日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮頸部細胞診における ThinPrep® Integrated Imager の有用性について
金田 敦代安岡 弘直郡司 有理子福田 沙織青木 弘島田 香築山 あゆみ辻 洋美辻本 正彦
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2019 年 58 巻 5 号 p. 189-195

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抄録

目的 : 子宮頸部細胞診における自動スクリーニング支援装置 ThinPrep® Integrated Imager (以下 I2) の有用性について検討した.

方法 : ThinPrep® 標本でマニュアル検鏡 (以下 M 検鏡) を施行した子宮頸部細胞診 552 例を対象とし, M 検鏡と I2 を用いた検鏡 (以下 I2 検鏡) の判定結果, 組織診断との対比およびハイリスク HPV 陽性率の比較を行った.

成績 : M 検鏡と I2 検鏡の細胞判定の一致率は 88.4%, 細胞判定と組織診断の一致率は M 検鏡で 86.2%, I2 検鏡で 93.1%であった. M 検鏡 NILM 症例の約 9 割は I2 が選択した 22 視野のみの検鏡で判定可能であった. 組織診断 LSIL の検出率は M 検鏡で 95.0%, I2 検鏡で 97.5%, 組織診断 HSIL 以上の検出率は M 検鏡で 60.0%, I2 検鏡で 86.7%となり, I2 検鏡で HSIL 以上の検出率が高かった. ハイリスク HPV 適中率は I2 検鏡で高かった.

結論 : I2 は組織診断一致率が高く, 検鏡時間短縮も期待でき, HPV 感染に伴う細胞変化をより的確に認識していると推察される. そのため, 高い細胞診断精度と効率化を兼ね備えた優れた支援システムと考えられる.

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