日本臨床細胞学会雑誌
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症例
耳下腺に発生した導管内癌の 1 例
平田 幸也樋口 佳代子長尾 俊孝瑞慶覧 陽子金城 貴夫和田 直樹
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2022 年 61 巻 6 号 p. 431-437

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抄録

背景:導管内癌は予後の良いまれな唾液腺腫瘍であり細胞像の報告例は少ない.

症例:70 歳代,男性.10 数年前より左耳下部に小さなふくらみを自覚し,1 年ほど前より腫瘤の増大傾向がみられた.MRI では左耳下腺に 50 mm 大の多房囊胞性腫瘤が認められたため,穿刺吸引細胞診が施行された.細胞診標本では,リンパ球,好中球,ヘモジデリンを貪食したマクロファージを背景に,軽度の重積性を示す腫瘍細胞からなる上皮性集塊がみられた.腫瘍細胞の核は比較的小型で異型に乏しく,クロマチンは細顆粒状で小型核小体が 1~2 個認められた.細胞質はライトグリーン好性~空胞状で,一部の腫瘍細胞は分泌物をいれた細胞質内小腺腔や黄褐色調顆粒を有していた.細胞所見から低悪性度の腫瘍性病変が疑われたため,判定は唾液腺細胞診ミラノシステムにおける「悪性の疑い,低悪性」とし,鑑別には分泌癌や囊胞腺癌を挙げた.

結論:導管内癌は細胞像では正確な組織型の推定は困難であるが,予後良好な経過を示すことから,術前に低悪性度腫瘍と判定することが重要である.

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