日本臨床細胞学会雑誌
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症例
肝細胞癌からの転移性卵巣腫瘍の 1 例
赤路(梶尾) 悠栗田 智子田尻 亮祐原田 大史植田 多恵子吉野 潔岡 春子寺戸 信芳名和田 彩松浦 祐介
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2023 年 62 巻 6 号 p. 300-306

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抄録

背景:肝細胞癌の卵巣転移はきわめてまれである.腫瘍捺印細胞診が特徴的であった肝細胞癌からの転移性片側卵巣腫瘍について報告する.

症例:60 歳代,女性.9 年前に肝硬変を発症し,6 年後に肝細胞癌へ進行し手術が施行された.術後 1 年半で多発肝内再発を認め肝動脈化学塞栓術が施行された.再発治療後 2 年の胸腹部 CT 検査で 63×56 mm 大の左原発性卵巣腫瘍が疑われ,診断目的に腹腔鏡下両側付属器摘出術を施行した.左卵巣腫瘍は黄褐色調で脆く血管新生に富んでいた.腫瘍捺印細胞診ではきれいな背景の中に,腫瘍細胞は索状および孤在性,一部重積性に出現していた.好酸性の豊富な細胞質を有し,核の大小不同,クロマチンの増量を伴い,腫大した明瞭な核小体が認められた.腫瘍細胞質内には胆汁を確認し,肝細胞由来を示唆する所見であった.組織診では異型を伴う腫瘍細胞が索状に増殖し,豊富な好酸性細胞質や胆汁を認めることから肝細胞類似の組織であった.また免疫組織化学染色では散在性に hepatocyte paraffin 1 が陽性であり,肝細胞癌からの転移性左卵巣腫瘍と診断した.

結論:腫瘍捺印細胞診で肝細胞類似の腫瘍細胞が胆汁色素を含んだ特徴的な所見を示し,肝細胞癌からの転移性卵巣腫瘍を経験した.

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